住いの話  −その7−(施主さんの話)
今回は大本建設のクライアント(施主)さんでもあり、大本建設のHP作成管理、広報デザイン、写真撮影などで付き合いも深い、原デザイン室の原さんの登場です。(インタビュアー/ハララ)

糸島市の中心、伊都文化会館脇にある事務所の中は、パソコン、ドラフター、工作コーナー、沢山の模型、試作品などがオモチャ箱のように溢れています。お仕事は家具を中心とした、プロダクトデザイナー。他にグラフィック、WEB、などのデザイン、それに週一回は赤坂にある福岡デザイン専門学校の講師もしているという、なんでもデザイン屋という感じ。その事務所にほとんど休みもなく毎朝暗い内から詰めているというやや変人?デザイナー。(笑)。



Q1.
出身は地元ですか?

福岡市内(住吉)の生まれで、小さいころ博多山笠に出た写真(親父に抱えられて)があります。子供の頃は吉塚で育ち、大学で4年間金沢に暮らし、卒業後、山形県にある家具メーカーで社内デザイナーとして14年間過ごして、36歳の時に又、九州へ戻ってきて、糸島でデザイン事務所を始めました。大本さん(社長)と知り合ったのは、17〜8年前かなぁ。よく行く飲み屋のカウンターの端で独りで飲んでる同士ということで。お互いに変な奴が居るなぁ、と(笑)。

Q2.
インテリアデザインの仕事もされているので、その話にも後々登場して戴くとして、今回は自宅(施工/大本建設)の話を伺います。施主さんとしては特殊な例ですが(笑)。

デザインが仕事ですので、当然自宅も自分でデザインしようと、当初は知り合いの建築設計士に協力依頼して、RCで建てる計画をしていました。確認申請も済んでたのですが、いざ建てる段になって、どうも田舎の集落の一角にそんな頑強な家が建つのも、どうだろうか?(自分が死んでも、要塞のようにコンクリートの家が残るんもイヤだなぁ、と)。急遽、木造でやろうと自分で設計をやり直し(前述の設計士には設計料を払って)。RC設計時のドームの屋根は生かしたいので、なんとかそれを木造で(当時調べた限りではツーバイフォーなど他の工法ではあるが、在来工法ではなかった)やりたいなと、知り合いのツテでいつも飲み屋で会う(笑)大本さんを紹介してもらったわけです。

ちょうどその頃、大本さんも会社の仕事をすべて自社物件に切り替えていこかという時期。どこでもある家とは違う、自社オリジナルのノウハウを持った住宅を建てようという時と重なり、即「よかたい、やるたい。」と。あまりにも簡単にやると言ったもんだから、却って心配になりましたが(笑)。とにかく、大本さんは決定が早いので、次に会った時には、もう棟上げの日まで決まっていました。(こっちはまだ、金策も確定してないのに・笑)。
いずれにせよこの住宅は、家具デザイナーのやや実験的自宅でもありますが、大本建設においてもマイルストーン(節目)的な建物だったと思います。


Q3.
大きな吹抜け空間を持つ特徴的な建物ですが、どのような考えで、このようなガランドウの(笑)住まいを考えられたのですか?

家は独りで住むものじゃないので、先ず家族の意見も聞かなきゃと、カミサンと娘(当時小学生)に、「不便はないが普通によくある家と、多少不便はあっても変わった家、のどちらがイイか?」と尋ねたら、「変わった家」と即答。予定通りの答えで、これは多少不便な所があってもいいか、と(笑)。
コンセプトは、大きな空間を作り、部屋はフレキシブルに置き家具によって仕切られるということです。モンゴルのパオみたいなイメージとか、体育館みたいなものです。
部屋というのは造り込んでしまうと、却って時間系の変化(家族の構成や成長など)には対応できなくなるし、そんなものは後からいくらでもやれるわけです。又、昔住んだ家を思い出せないというのは淋しいことだし、記憶に残る家というのはそれだけでも価値がある事じゃないか、と。大本建設さんが掲げている「記憶に残る住まいづくり」というのと同じです。

施工例から H邸の写真

(photo by Higuchi Yuki)
Q4.
実際に建てられた時の、面白いエピソードとかありましたら‥。

実は建てる前は隣に建っている借家に住んでいましたので、建築現場は毎日見れるわけです。又、大本さんが事務所へ来られた時には、いつも何かしらこの家の図面(家具とか壁面の割り振りとか)を描いていたので、「ま〜た、何か描きよる!もう、アンタが現場カントクしない!」と(笑)。で、毎朝、大工さんに細かな納まりの事とか打合せして仕事に行っていました。それに設計と施主を兼ねてると、話が早い。大本さんから「軒裏は何張るとな?内部と同じ杉板なら幾ら、ボードなら幾ら、」と実にわかり易い話が直ぐに伝わるわけです。ある時は、「内部の柱はどれを使うか?この予算なら、一等材やが‥」と。こちらは建築に詳しくないので、一等材=一番いい材料、と思って「一等材?イイねー。」と。実は、木材の一等材というのは節がある材であまり見える所には使わない材料と知ったのは後からです(笑)。ま、木材に節があるのはべつに構わないのでよかったですが。ほんとに建ててる3〜4ヶ月は仕事そっちのけで、家作りにかかりきりで、よくその間、飯が食えたな〜と思います。(笑)


15年前の模型や図を出してきて、うれしそうに、話始める原さん。

Q5.
この家、ローコストなのでしょうか。(笑)

もちろん金がないからローコストです(笑)。但し、河村さんの言葉を借りれば、チープ(安物)ではないと思っています。インテリアのデザインをしてますので、自分で手配できるものは(家具や金物、内部の材料など)は無理矢理(笑)安く仕入れてきました。ま、家というのは誰だって安く出来る方がいいに決まっています。だから、その中で何が大事か、自分の中で優先順位を決めることです。なんでも盛り込もうとするから、1つ1つがチープ(安手)になります。土台と設備はしっかりしたものに(過剰品質でない)、あとから出来るものはあとからでもいいと思います。ただし、これだけはしたいということは実現する。家は竣工した時が完成とは思わずに、その日から徐々に自分の住まいを創りあげていくんだという気持ち。それが結果的には、ローコストで高品質の家につながると思います。家は買うものでなく作るモノ、という考え。そうすると、家を建てるのも楽しいものになります。

自宅を設計した時の沢山の模型。いかにこの間、仕事してなかったかというのがわかりますね(笑)。

Q7.
これから家を建てられる方へのアドバイスなどありましたら。

どうせ家を建てるなら夢を実現しましょう。その為には設計事務所を活用することです。設計士に頼むと、設計料がかかるとか勝手にデザインされるとか思われがちですが、そうではなく、結果的に適正な価格で、望む暮らしをカタチにしてくれるのが設計士なのです。誰が設計してもその経費は掛かるはずですので、設計料が見えないハウスメーカーなどは信用しないことです。それに、信用ある施工業者。これも実績と、見積もり書の内容を細かく説明してくれるかどうかで、ある程度わかります。その点、大本建設さんは、自社でも設計されるし、いろいろな設計事務所さんと仕事をしてありますので、その人に合った設計者を紹介してくれるはずです。一見、こわそうですが(笑)、実はざっくばらんな人です(笑)。
大本建設のHPの更新作業をする原さん。

という事で、今回は原さんの登場でした。
そのうち、又、家具やインテリアの話を聞かせてください。     2011年.1月

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